一般的に斑(Macule)、珪肺結節(Silicotic Nodule)、Mixed Dust Fibrosis、塊状巣の4つがじん肺の基本的な病理所見であり、一人の肺にこれらの所見が単独で認められる場合もあるが、複数見られることの方が一般的である。以下にこれらの所見について述べる。
| 斑(Macule) |
0.6〜6mmの大きさ。境界不整で柔らかい。顕微鏡的には呼吸細気管支やその周辺の肺胞の、粉じんを含んだマクロファージの集積した変化で膠原線維や格子線維の発達が軽度である(HE染色*20)。
| 珪肺結節(Silicotic nodule) |
肉眼的には境界鮮明で白色調。硬い。顕微鏡的には硝子化ないしは部分的に壊死や石灰化した中心部を、発達した膠原線維や格子線維が層状、タマネギ状に取り囲んでできている。
(HE染色:上ルーペ像、下*40)
| Mixed dust fibrosis |
粉じんを取り込んだマクロファージと膠原線維や格子線維の混在した組織変化で、珪肺結節と比較して境界がやや不鮮明で、星芒状を呈する。シリカの含量の少ない粉じんに、少量で長期間曝露された場合に、この組織変化が生じると言われている。(HE染色*10)
| 塊状巣(Progressive massive fibrosis) |
上葉と下葉に2個の塊状巣がある大切片標本です。塊状巣には珪肺結節が融合して大きな塊を呈したものと、単一の結節が成長して大きくなったものと2つの成り立ちがあり、この例では、塊状巣が幾つもの珪肺結節から成り立っていることが分かる。成立の機序については粉じんやシリカの量、細菌感染、ホストの免疫学的違い等が上げられている。
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