職業性呼吸器疾患
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診断法


1)粉じん職歴の調査

 じん肺の診断は、まず粉じん作業の職歴の有無ついて問診することから始まります。
 粉じん作業の種類については別項を参照して下さい。

2)胸部レントゲン検査

 高圧撮影法でおこなうことが望ましい。
 平成13年6月よりCR写真もじん肺の診断に使用することができるようになりました。
 それぞれ以下のような指定された条件で撮影する必用があります。

《X線フィルム式撮影法》
X線発生装置 変圧器式では最高定格電圧125kV以上、最高定格流300mA以上、コンデンサ式では最高定格電圧125kV以上、コンデンサ容量1μFの規格のものが必用。
タイマー: 変圧器式では0.03秒以下で撮影する。コンデンサ式では尾切断方式を用いる。
X線管: 回転陽極管を必ず備えており、焦点は実効焦点として1mmのものが望ましい。
フィルター: 一次X線束の総ろ過は、少なくともアルミニウム2.5m相当とする。
グリッド: 格子比10:1位のもの。固定式グリッドの場合は1cm当たり40本程度の格子があることが望ましい。グリッドを使用しない場合は、2.4mの焦点フィルム間距離で、フィルムと被写体との間隔を0〜25cm離すこと。
増感紙: 中間感度(標準感度)のものを使用する。
X線フィルム: 一般目的用で中間感度のものを使用する。
現像: 自動現像装置を用いるが、それ以外の場合でも定時恒温現像を厳密に守らなければならない。
撮影条件: 吸気停止時に撮影する。焦点フイルム間距離は1.8以上が望ましく、1.5m以下にしてはならない。撮影は100kV以上で行い撮影時間は0.03秒以内とする。


《CR撮影法》
回転量(GA)  0.9〜1.0
階調シフト(GS)  −0.15〜−0.1
周波数強調度(RE)  0.0〜0.2
周波数ランク  4

※胸部レントゲンの分類は別項を参照して下さい


3)胸部臨床検査

a. 自覚症状の問診

 咳、痰、呼吸困難の程度、動悸、胸痛などの有無について問診します。
 呼吸困難度の調査はじん肺管理区分の判定にも重要です。
 じん肺法の呼吸困難度はいわゆるHugh−Jones分類を基礎としていますが、若干異なっていますので注意してください。

呼吸困難の分類
第1度 息切れを感じない、もしくは同年齢の健康者と同様に仕事ができ、歩行、登山あるいは階段の昇降も健康者と同様に可能である
第2度 同年齢の健康者と同様に歩くことに支障ないが、坂や階段は同様に上れない者  
第3度 50m以上休まずに歩けるが1Kmも歩けない、あるいは平地でも健康者なみに歩くことができないが、自己のペースなら1Km以上歩ける者
第4度 50m以上歩くのに一休みしなければ歩けない者
第5度 話したり、着物を脱ぐのにも息切れがして、そのため屋外に出られない者

b. 他覚症状の検査

聴診
 チアノーゼ、ばち状指などがみられることがあります。

c. 呼吸機能検査

一次検査
 スパイロメトリーにより%VC、FEV1.0%を測定し「著しい肺機能障害」があるかどうか判定します。
 「著しい肺機能障害」がある場合F(++)と記載します。

「著しい肺機能障害」の判定基準
(1)%VCが60%未満
(2)FEV1.0%が限界値未満(※)
(3)呼吸困難度が第V度以上
※限界値はじん肺審査ハンドブックを参照して下さい

二次検査
 一次検査で「著しい肺機能障害」があると判定されなかったが呼吸困難度が第V度以上で「著しい肺機能障害」が疑われる場合二次検査として肺胞気・動脈血酸素分圧較差を測定します。
 肺胞気・動脈血酸素分圧較差が限界値を越える場合「著しい肺機能障害」があると判定されます。

 「じん肺健康診断における肺機能の評価に当たっての留意事項について(抜粋)」(平成12年6月労働省労働基準局 安全衛生部労働衛生課長)
 高齢者の肺機能を評価するに当たっては、検査結果に影響を及ぼす 病態、ばらつきの大きさ等を念頭に置いて評価する必用がある。
 V25はばらつきが大きいなどの問題点があり、他の諸指標に比べ て信頼性が乏しい。
 肺機能障害の程度を最終的に判断する場合には、換気機能検査と動 脈血ガス分析の両検査を行い総合的に評価することが望ましい。
 動脈血ガス分析は、循環器系合併症を有する可能性の高い高齢者に おいては、より重視する必要がある。
 肺胞気・動脈血酸素分圧較差(AaDo2)を用いた肺機能の評価 を行う場合には、Pao2とPaco2も判断材料とする。
 肺機能障害の程度の判断には、基本的には換気機能検査又は動脈血ガス 分析により判断すべきである。しかしこれらの情報で判断し得ない場合 には「じん肺審査ハンドブック」に列記されている「その他の検査」を行い、これらの結果を含めて総合的な判断を行う必用があるが、当該検査以外にも以下の検査を参考にして総合的な判断を行っても良い。

(1)パルスオキシメーター
(2)運動負荷試験(多段階運動負荷法又は漸増的運動負荷法、6分間歩行試験)
(3)問診による呼吸困難の評価


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