岡山産業保健推進センターにおいて、現場で石綿除去作業を行なっている労働者防じんマスクのマスク効率と作業環境について検討した。
石綿除去作業を行なっている20の作業現場で、このうちレベル1とは石綿含有吹付け材の除去作業で17箇所で、レベル2とは石綿を含有する保温材、断熱材、耐火被覆材などの除去作業で3箇所であった。これらの作業現場におけるアスベスト濃度を測定したところ、作業現場室内の空気中石綿濃度はレベル1で平均2.6×104±3.5×104f/Lで、レベル2では平均322±162f/Lであった。(図1−1・2)。
労働者はすべて男性で、年齢は平均38.1歳、レベル1で平均38.6歳、レベル2で36.2歳であり、マスク着用率はレベル1・2共に100%であった。レベル1の作業者は97名中96名が全面型、1名が半面型マスクを着用していた。またレベル2の作業者18名は全員半面型マスクであったが、そのうち6名は電動ファン付マスクであった。粉じん作業の作業従事期間は全体平均31.6ヶ月、レベル1では平均30.1ヶ月、レベル2では平均41.5ヶ月と比較的短期間であった。
石綿除去作業労働者のマスクもれ率はレベル1で平均5.6%、レベル2で平均3.4%であった。レベル1でのもれ率は0〜1%未満のもれ率が最も多く56名、50%以上のもれ率は3名であった(図2)。
レベル2でも〜1%未満のもれ率が最も多く11名、10〜20%のもれ率は2名であった(図3)。
レベル1の作業現場では、マスクのもれ率が高ければ、石綿肺の発生危険もあり、より低濃度でも発生する。中皮腫を防ぐためにも正確なマスクの着用が必要となる。
(図1-1)
(図1-2)
(図2)
(図3)
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