脊椎・脊髄損傷
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−「MRI計測による日本人の頚椎部脊柱管および頚髄の標準値の設定」

これまでに行った研究状況

 19年度までの研究実績及び成果 神経症状のない各年代の正常者1,200名に対し頚椎ドックを施行し、900名について解析を行い、次の4つの知見を得た。

(1) MRIの計測を行い、脊柱管前後径、硬膜管前後径、脊髄前後径、脊髄面積、硬膜内脊髄占拠率の加齢による変動を検討したところ、脊柱管前後径、硬膜管前後径、脊髄前後径、脊髄面積は加齢と共に縮小、硬膜内脊髄占拠率は加齢と共に増加した。この結果は、高齢労働者では、頚部脊柱管狭窄症の頻度が増加することを示している。また、頚髄の神経学的所見としての「手指10秒テスト」及び「10秒足踏みテスト」の加齢による変動を検討したところ、加齢と共に低下することが明らかとなった。この結果は、高齢労働者では、手足の運動機能が低下していることを示している。

(2) 発育性脊柱管狭窄(先天性脊柱管狭窄)のMRI上の定義を決定した。発育性脊柱管狭窄については、単純X線上の定義はあるが、MRI上の定義はない。そこで、矢状断MRI上、脊髄第5頚椎体中央の高さで脊髄占拠率(脊髄前後径/硬膜管前後径)を計算したところ、58.1±7.0(平均値±SD)%であった。これより、発育性脊柱管狭窄のMRI上の定義を脊髄占拠率にて67%以上とした。この定義には13%の人が該当する。

(3) 無症状でも、脊髄の圧迫所見を数%に認め、さらに輝度変化を1%に認めた。

(4) 椎間数変性も年齢とともに増加することが明らかとなった。これまでの検討から、加齢と共に硬膜内脊髄占拠率が上昇すること、神経機能も低下することが明らかとなった。この結果は、高齢労働者では、頚部脊柱管狭窄が存在し、頚椎の過進展による業務上の非骨傷性経髄損傷をひき起こす可能性が強いこと及び手足の運動機能が低下している可能性が強いことを示している。

 今後、高齢労働者における頚部脊柱管狭窄症の実態を解明し、頚髄損傷の予防法及び就業継続の可能性を検討する必要がある。





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