脊椎・脊髄損傷
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−「MRI計測による日本人の頚椎部脊柱管および頚髄の標準値の設定」

研究の目的及び意義

 近年本邦では、高齢化に伴い、頚椎骨軟骨症(頚椎症)や頚椎後縦靱帯骨化症(OPLL)などによる頚部脊柱管狭窄症が増加しています。この病態の問題点は、慢性疾患として頚椎症性脊髄症を発症するのみならず、外傷機転が加わることにより、非骨傷性頚髄損傷を受傷します。今後、本邦は構成人口がさらに高齢化することが予測されており、これに伴い勤労者の高齢化も予想されます。また、非骨傷性頚髄損傷は頚椎を過度に後ろにそらせる(過伸展)ことにより受傷することが知られています。このため、頚椎を過伸展する可能性のある業務では、頚部脊柱管狭窄症を有する勤労者は常に非骨傷性頚髄損傷を受傷する危険を有しています。


 頚部脊柱管狭窄症の原因として、本邦の構成人口の高齢化以外に、以前より日本人の頚部脊柱管が、他人種に比べて狭いことが指摘されています。しかしながら、過去の報告は剖検例やレントゲン計測による報告であり、MRIを用いて脊柱管形態や、脊柱管と脊髄との関係を検討したものはありません。また、頚部脊柱管狭窄症と業務との関係を検討した報告もありません。本研究では勤労者、一般者を対象とした「頚椎ドック」により、これらの標準値を求めます。本研究で求められたこれらの標準値は今後の診療において、患者さんの頚椎が病的な状態であるか否かを判断する有力な材料となります。また、本研究にて健常者における頚部脊柱管狭窄症の有病率も明らかになります。これにより、本研究のデーター集積法である「頚椎ドック」が非骨傷性頚髄損傷の予防医療に役立つかどうかも明らかになると考えます。






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