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労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案(概要)

T 根拠法令

労働基準法(昭和22年法律第49号)第64条の3第3項、第115条の2並びに労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第14条、第22条第1号、第27条第1項、第31条の2、第57条第1項、第57条の2第1項、第57条の3第1項、第65条第1項、第65条の2第3項、第66条第2項、第67条第1項、第88条第2項及び第113条

U 改正の内容

1 インジウム化合物等による健康障害防止措置の拡充関係

(1)労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「則」という。)の一部改正
@ 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号。以下「法」という。)第57条の名称等を表示すべき有害物(以下「表示対象物質」という。)に「インジウム化合物」、「エ チルベンゼン」並びに「コバルト及びその無機化合物」を追加する予定であることを踏まえ、次に掲げる物質についても表示対象物質に追加するもの。
ア インジウム化合物を0.1%以上含有する製剤その他の物
イ エチルベンゼンを0.1%以上含有する製剤その他の物
ウ コバルト又はその無機化合物を0.1%以上含有する製剤その他の物
A 則別表第2の2に規定する名称等を通知すべき有害物のうち、「インジウム及びその化合物を含有する製剤その他の物」の含有量の基準を、0.1%以上と改正する。
B 則別表第7に規定する発散抑制の設備等に係る設置届を必要とする屋内作業場を以下のように改正する。
ア 「コバルト・その無機化合物」及び「コバルト又はその無機化合物をその重量の1%を超えて含有する製剤その他の物」(以下「コバルト及びその無機化合物等」という。)のガス、蒸気又は粉じんが発散する屋内作業場については、これらを触媒として取り扱う業務のみを行う作業場を除く。
イ 「エチルベンゼン」については、塗装の業務を行う屋内作業場に限定する。
C その他所要の改正を行う。
(2)有機溶剤中毒予防規則(昭和47年労働省令第36号。以下「有機則」という。)及び特定化学物質障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)の一部改正
@ 「エチルベンゼン」の塗装の業務(以下、「エチルベンゼン塗装業務」という。)について、以下の措置を義務付ける。
・ 当該業務を行う作業場について局所排気装置の設置等の発散抑制措置を講じること
・ 当該局所排気装置等を設置しようとするときはあらかじめ届け出ること
・ 作業環境測定を行うこと
・ 当該業務に常時従事する労働者に特殊健康診断を実施すること
A エチルベンゼン塗装業務について、作業の記録、作業環境測定の結果及び評価の記録並びに健康診断結果の記録の30年間保存を義務付ける。
B エチルベンゼン塗装業務を行う事業者は、事業を廃止する際には以下の書類を添えて、所轄労働基準監督署長に報告しなければならないこととする。
ア 作業環境測定の結果及び評価の記録
イ 作業の記録
ウ 有機溶剤等健康診断個人票
C 「インジウム化合物」及び「インジウム化合物をその重量の1%を超えて含有する製剤その他の物」(以下「インジウム化合物等」という。)並びに「コバルト及びその無機化合物等」を製造し、又は取り扱う業務について、以下の措置を義務付ける。(コバルト及びその無機化合物等を製造し、又は取り扱う業務のうち、コバルト及びその無機化合物等を触媒として取り扱う業務を除く。)
・ 上記有害物のガス、蒸気又は粉じんが発散する屋内作業場について、局所排気装置の設置等の発散抑制措置を講じること
・ 当該局所排気装置等を設置しようとするときはあらかじめ届け出ること
・ 作業環境測定を行うこと
・ 当該業務に常時従事する労働者に特殊健康診断を実施すること
D インジウム化合物等並びにコバルト及びその無機化合物等を製造し、又は取り扱う業務について、作業の記録、作業環境測定の結果及び評価の記録並びに健康診断結果の記録の30年間保存を義務付ける。
E インジウム化合物等並びにコバルト及びその無機化合物等の二次発じんによる健康障害防止のため、床等の掃除の実施を義務付ける。また、インジウム化合物等を製造し、又は取り扱う作業について使用した器具等の付着物の除去等の措置を講じなければならないこととする。
F インジウム化合物等を製造し、又は取り扱う作業に労働者を従事させるときは、厚生労働大臣の定めるところにより(※)、作業環境測定の結果に応じて、適切な呼吸用保護具を使用させなければならないこととする。
※ 呼吸用保護具の種類については大臣告示により規定する予定。
G 特定化学物質のうちエチレンオキシド及び酸化プロピレンを特化則第38条の14に規定するくん蒸作業に係る措置の対象とする。
H その他所要の改正を行う。
(4)その他関係省令につき、インジウム化合物等並びにコバルト及びその無機化合物等に係る作業環境測定を行う作業場の種類を規定する等、所要の改正を行う。

2 女性労働者の就業を禁止する業務の見直し関係

女性労働基準規則の一部を改正する省令(平成24 年厚生労働省令第78号)の一部を改正し、エチルベンゼン塗装業務の一部を女性労働者の就業を禁止する業務に追加する等所要の改正を行う。

3 特殊健診等の項目の見直し関係

(1)則の一部改正関係
@ 肝機能検査の名称について、最新の臨床医学における表記を踏まえ、見直しを行うもの。
A その他関係様式につき、所要の改正を行う。
(2)有機則の一部改正
有機溶剤業務に従事する労働者に対する特殊健康診断に係る検査項目につき、以下のとおり改正を行う。
ア 労働者ごとのばく露の程度をより適切に判断するため、有機溶剤業務に常時従事する労働者に対して必ず実施する健康診断の検査項目に「作業条件の簡易な調査」を追加する。
イ 有機溶剤業務による労働者の健康障害の実態を踏まえ、有機溶剤業務に常時従事する労働者に対して必ず実施する健康診断の検査項目から尿中の蛋白の有無の検査を、当該者に医師が必要と認めた場合に行うべき検査項目から貧血検査、肝機能検査及び腎機能検査(尿中の蛋白の有無の検査を除く)を除く。
ウ 特定の有機溶剤業務に従事する労働者に対する健康診断の検査項目について、労働者の健康障害の実態を踏まえ、検査項目を追加する等所要の改正を行う。
エ その他所要の見直しを行う。
(3)鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第37号。)の一部改正
鉛業務に従事する労働者に対する特殊健康診断に係る検査項目につき、以下のとおり改正を行う。
ア 労働者ごとのばく露の程度をより適切に判断するため、鉛業務に常時従事する労働者に対して必ず実施する健康診断の項目に「作業条件の簡易な調査」を追加する。 イ その他所要の見直しを行う。
(4)四アルキル鉛中毒予防規則(昭和47年労働省令第38号)の一部改正四アルキル鉛業務に従事する労働者に対する特殊健康診断に係る検査項目につき、以下のとおり改正を行う。
ア 労働者ごとのばく露の程度をより適切に判断するため、四アルキル鉛業務に常時従事する労働者に対して必ず実施する健康診断の項目に、「業務の経歴の調査」及び「作業条件の簡易な調査」を追加する。
イ 四アルキル鉛による労働者の健康障害の実態を踏まえ、四アルキル鉛業務に常時従事する労働者に対して必ず実施する健康診断の検査項目として、「血液中の鉛の量の検査」及び「尿中のデルタアミノレブリン酸の量の検査」を追加し、「血圧の測定」及び「好塩基点赤血球数又は尿中のコプロポルフィリンの検査」を除く。
ウ 上記の者に対して医師が必要と認めた場合に実施する項目に、「作業条件の調査」、「貧血検査」、「赤血球中のプロトポルフィリンの量の検査」及び「神経学的検査」を追加する。
エ その他所要の見直しを行う。
(5)特化則の一部改正
特定化学物質(以下「特化物」という。)を取り扱う業務に従事する労働者に対する特殊健康診断に係る検査項目につき、以下のとおり改正を行うもの。
ア 労働者ごとのばく露の程度をより適切に判断するため、必ず実施する健康診断の項目に「作業条件の簡易な調査」を追加する。
イ 特定の物質を取り扱う業務に従事する労働者に対する健康診断の検査項目について、特化物による労働者の健康障害の実態を踏まえ、所要の改正を行う。
ウ その他所要の見直しを行う。
(6)石綿障害予防規則(平成17年厚生労働省令第21号)の一部改正関係
石綿等の取扱い又は試験研究のための製造に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に従事する労働者に対する特殊健康診断について、びまん性胸膜肥厚を有する場合の呼吸機能を確認するため、医師が必要と認めた場合に実施する項目にスパイロメトリーによる検査等を規定する。

4 新規化学物質製造・輸入届等の様式の見直し関係

新規化学物質製造・輸入届等の様式について、「国民の声」規制・制度改革集中受付に提出された要望を踏まえ、新規化学物質の製造又は輸入に係る届出等に関する省令(昭和49年厚生省・通商産業省令第1号)に基づく届出書類の写しの提出等により、記載事項の一部を省略することができることとするもの。

V 施行期日等

公布日:平成24年8月上旬(予定)
施行日:平成24年10月1日(予定)
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