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考察とまとめ

  • 医療機関と企業との間、そして企業内での糖尿病罹患従業員と企業の産業保健スタッフ間での情報のやり取りがあまり行われていないことが裏付けられた。この現状をどのようにして、仕事と治療の両立を目指した緊密なコミュニケーションを可能にするかが、今後の課題であると考えられた。
  • 就労と糖尿病治療両立支援手帳を作成し、これを用いて三者の間のコミュニケーションを促進することを目指す。両立支援を行う上でもう一つ重要なことは、就労と糖尿病治療の両立を行う上での問題点およびその対応につき、少なくともHbA1c値での対応を盛り込んだ重要指針(ガイドライン)を作成することと考えられる。
  • 企業での講演など含め、産業保健上の活動により、糖尿病、ひいては生活習慣病に対する啓発活動と就労者への受診勧奨、そして企業との連携に比較的消極的な糖尿病主治医へのインセンティブを図ることが必要と考えられる。
  • 生産年齢層においては多くの患者が糖尿病治療を自己中断している。この解決策の一つとして医師-患者-企業連携を推進することではないかと考えられる。
  • 連携と両立支援のために必要となるリソースとしては、糖尿病治療に十分な知識と経験のある医師、糖尿病患者の療養指導に経験の多い看護師(糖尿病療養指導士が望ましい)、会社とのやりとりなどに経験のあるメディカルソーシャルワーカー(MSW)が主要メンバーとして支援活動を行い、必要に応じて眼科医、視能訓練士、透析医、透析スタッフ、メンタルケアを行う臨床心理士、薬剤師、管理栄養士などがチーム医療の一員としてサポートを行っていく体制が必要となると考えられる。

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