独立行政法人労働者健康安全機構 研究普及サイト

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働く女性の健康

テーマ1
月経関連障害、更年期障害が働く女性のQWL
(Quality of Working Life)に及ぼす影響

研究目的

経口あるいは経皮エストロゲン製剤が更年期障害女性のQWLの改善にどのような効果があるのかを検討する。

研究に関する説明・同意を得たあと、ホルモン補充療法(HRT)などの薬剤投与前(初回)、投与後1ヵ月目、投与後3ヵ月目、投与後6ヵ月目の計4回にわたってアンケート調査※を行い、簡略更年期指数(SMI)とSF-36v2TMを用いて治療前・治療後のQOLの変化を検討した。

考察

今回の調査では、簡略更年期指数によるホルモン補充療法の有効性の評価について、血管運動系の症状の改善に特に有効であったが、精神症状や不定愁訴に関する改善が見られなかったという特徴が見られた。精神症状や不定愁訴に関する改善については、報告により様々であるが、今回の調査においては、患者の背景の違い、あるいは使用した薬剤の異なることがその理由として考えられた。

SF-36 v2TMの調査では、健康感、活力など8項目中6項目で改善が見られ、改善が見られなかったのは身体機能及び精神的日常役割機能のみであったことは興味深い。今後は、更年期障害の評価及び治療効果に関するSF-36 v2TMによる評価の有用性についてさらに検討すべきであると考えられた。
なお、対象患者の就労状況による治療効果の差異については、今回非就労者の症例が少なく、十分な解析が困難であったため、さらに症例を重ねていく必要がある。